【第二回】AIに、商社セクターETF(1629)の売買推奨させてみた

Penguin Suit
@PenSu

はじめに
今回は、4月にも行ったAIに投資判断をさせてみたシリーズの第二段です。
(詳しくはこちらをクリック:https://www.activeclub.jp/blog/ai-next-funds-1629)
前回のブログ作成した4月27日時点の株価は81,280円(4月25日時点)で、その当時の判断は”買い推奨 株価が88,000円"でした。なんと現在7月25日時点で87,390円になりますので、当時のAIの判断は正しかったといえるのではないでしょうか。
今回も、この三か月の市況を踏まえて再度AIに投資判断をさせてみようと思います。
投資判断の仕方は、こちらご覧ください↓
https://www.activeclub.jp/blog/ai-stock
元のレポートは、↓こちらです。
売りレポート:https://docs.google.com/document/d/1S9jnYxTZso9F-Ji2PpAp2xobauVYnUVB/edit?usp=sharing&ouid=112734819535888636629&rtpof=true&sd=true
買いレポート:https://docs.google.com/document/d/1Rak55ip--zpoz4dPAysxA-s_BFmWM1_9/edit?usp=sharing&ouid=112734819535888636629&rtpof=true&sd=true
AI による最終投資判断
「専門家の意見が真っ二つに割れている…」そんな状況、投資の世界ではよくありますよね。まさに今、日本の主要な商社にまとめて投資できる「NEXT FUNDS 東証商社卸売業株価指数連動型上場投信(1629)」が、その注目の的となっています。
このETFについて、あるレポートは「強力な買い」を推奨し、目標株価105,000円を掲げる一方 、別のレポートは「売り」を推奨し、目標株価を70,000円と予測しています 。
同じETFを分析して、なぜこれほどまでに評価が分かれるのでしょうか?今回は、この二つのレポートを徹底的に比較・分析し、個人投資家がどちらの意見を参考にすべきか、その核心に迫ります。
なぜ買い?「強気派」の主張する3つの追い風
まず、「強力な買い」を推奨するレポートの主張を見てみましょう。彼らが注目するのは、総合商社が経験している、一過性ではない構造的な大変化です。
- ① 株主還元革命:かつてない規模の自社株買いや「減配しない」累進配当など、商社各社が株主への利益還元を強力に約束している点です 。これは、アクティビストや政府からの要請、そして著名投資家ウォーレン・バフェット氏の投資がもたらした「バフェット効果」が後押ししており、株価の強力な下支えとなります 。
- ② 戦略的な事業転換:歴史的に収益を不安定にさせてきた資源分野への依存度を下げ、ヘルスケアやデジタル、消費財といった、より安定的で成長性の高い非資源分野へ事業の軸足を移すことに成功している点を評価しています 。これは収益の「質」の向上を意味し、株価がより高く評価されるべき根拠となります 。
- ③ 魅力的な株価と地政学:これだけ株価が上昇しても、向上した収益性(ROE)やキャッシュ創出力と比較すれば、商社セクターは依然として魅力的な水準にあると指摘 。さらに、世界的なサプライチェーンの中国からの多様化(デリスキング)の流れは、日本の総合商社にとって巨大な事業機会となっています 。
強気派は、これらの要因が互いに作用し合うことで、自己増殖的な価値創造サイクルが生まれていると結論付けています 。
なぜ売り?「弱気派」の主張する3つの逆風
一方で、「売り」を推奨するレポートは、今後6~12ヶ月という短期的な視点で、複数のネガティブな要因が同時に発生するリスクを警告しています。
- ① 世界経済の減速と中国要因:総合商社にとって極めて重要な市場である中国経済が、不動産危機などを背景に失速 。これが世界経済全体を冷え込ませ、世界貿易を事業の根幹とする商社の収益を直撃すると予測しています 。
- ② 商品市況のピークアウト:近年の商社の記録的利益を支えてきた原油や鉄鉱石などのコモディティ価格が、循環的なピークを過ぎて下落局面に向かっていると分析 。供給過剰が予測されており、資源権益からの利益が大幅に減少するとしています 。
- ③ 国内政策の転換(円高・金利上昇):これまで追い風だった「円安」が円高方向に転換すれば、海外利益が円換算で目減りします 。また、日本の金利が上昇すれば、多額の負債を抱える商社の資金調達コストが増加し、利益を圧迫する「挟み撃ち」に合うと指摘しています 。
弱気派は、市場はこれらの複合的な逆風をまだ織り込んでおらず、今後発表される業績の下方修正が引き金となって株価は大きく下落すると見ているのです 。
結論:あなたは「構造変化」と「景気サイクル」のどちらを信じるか?
両者の主張を比較すると、面白いことがわかります。
- **弱気派(売り推奨)は、景気や商品市況といった「周期的(シクリカル)」**な要因に注目し、短期的なリスクを警告しています。
- **強気派(買い推奨)は、株主還元の姿勢や事業内容の変化といった「構造的(ストラクチュラル)」**な要因に注目し、中長期的な成長を予測しています。
これを踏まえた上で、私の分析と推奨は**「買い推奨」レポートに軍配を上げたい**、というものです。
理由は、弱気派が指摘するリスクは確かに現実的ですが、その多くは**「予測」**に過ぎません。景気後退や為替の動きを正確にタイミングよく当てるのはプロでも至難の業です。
一方で、強気派が根拠とする「株主還元の強化」や「非資源分野へのM&A」は、企業がすでに**「実行」**している、あるいは公約している事実です。これは短期的な景気の波を超えて、企業の価値を長期的に向上させる、より確かな土台と言えるでしょう。
弱気派が警告する景気後退が起これば、一時的に株価は下落するかもしれません。しかし、構造的な変革を遂げつつある企業にとっては、それはむしろ絶好の「買い場」となる可能性すらあります。
もしあなたが1年半~2年以上の時間軸で投資を考えられるのであれば、このETFが内包する「日本を代表する企業の歴史的な変革」という大きなストーリーに投資する価値は十分にあるのではないでしょうか。